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2021/06/24

(事例紹介)自宅で過ごす家族団欒

(事例紹介)自宅で過ごす家族団欒

誤嚥性肺により入退院を繰り返し、終末期の状態となったY様。意思疎通が可能だった頃から、「少しでもいいから家に帰りたい。あかんのか。」と奥様に言われていたようです。

奥様は「家に連れて帰ってあげたいけど、最期看取るのはとってもじゃないけど気持ちがついていかない。でも、ちょっとでも帰るなら今しかないんやろうね。」

と病院の医療ソーシャルワーカーさんに相談されていたようです。ソーシャルワーカーさんからこちらにご連絡いただき、わたしはすぐに病院へ向かいました。緊急カンファレンスを開き、帰るなら今しかないと主治医の判断もあり、翌日自宅へ一時外出へ。

本来ならベットの方が介助しやすく好ましいですが、

Y様は畳で寝るのがお好きだったようで、敷布団で休んでいただきました。

一時的に呼吸状態の悪化が見られましたが、

落ち着きを取り戻し、家族団欒の時間をとっていただきました。

特に言葉を発する事ができる状態ではなかったのですが、家族の声掛けに時折頷かれ、とっても穏やかな表情でした。

意識が朦朧としていても、ぼんやりとしていながらも見慣れた光景、家族の声、お家の匂いやペットの毛並みの感触、五感をフルに使ってご自宅を感じておられたことと思います。

出来るだけ家族で過ごしていただきたく、わたしは隣室で待機させていただいたのですが、奥様は今までの思い出のアルバムを沢山山積みにして、見せてくださいました。

そこにはY様が歩んでこられた80年人生の物語が沢山詰まっていました。わたしは沢山の思い出の詰まったアルバムに心が温かくなりました。

また病院へと戻ることにはなりましたが、2日後に息を引き取られたとご連絡いただきました。 

奥様は「もしかしたら、無理をさせて死期を早めてしまったのかともおもったけど、あの時少しでも家に帰らせてあげることができて本当によかった。お父さんも喜んでくれたかなって思いたい。本当にありがとう。」 

ご家族にとってはお辛い状況だったと思います。

でも家族で過ごせたあの2時間は、これから先残された家族が気持ちを整理していく上で、とっても大切な時間だとわたしは思います。ありがとうございました。